不動産投資の収支って初心者の方にはとっつきづらい部分ですよね。今回は収支をさくっと理解するためのキャッシュフローツリーのご説明をしていきます。
初期分析に用いられる分析のひとつのツールだと思って頂ければ問題ありません。不動産業者によってはこういった表現をしてくる場合もあります。理解しておくと物件探しもスムーズになりますし、一部の業者さんとのコミュニケーションも共通言語で出来ます。
キャッシュフローツリーを見てみる
こんな感じです。

これだと非常にわかりづらいので、線を引いて説明します。

線と線の間の項目を全て足したものが、線の下にくるイメージです。それぞれが何を指すのか説明していきます。
目次でサクッと理解する
一部項目の解説
総潜在収入(GPI)
GPIはGross Potential Incomeの略。『満室想定賃料』のことを指すと理解して頂ければ問題ありません。
リース損
周辺の相場の賃料より低い賃料で入居してしまっている場合、生じる損失
雑収入
賃料以外の収入を指す。自動販売機売り上げ、アンテナ基地局収入など
実行総収入(EGI)
支払いや返済前の賃料計
運営費(OPEx)
オーナーが負担する支出のこと。OPExはOperating Expensesの略。
項目には以下のようなものがある。
- 固定資産税
- 共用部光熱費
- 修繕費
- 賃貸管理費
- 建物管理費
- 損害保険
- 広告費
- インターネット使用量
- エレベーター保守費用
- 消防点検費用
- 浄化槽メンテナンス費用
- 受水槽費用
などなど。
それぞれGPIに以下割合を掛けてしても概算は出来ます。
- 木造:15%
- 鉄骨造:18%
- RC(エレベーター無し):20%
- RC(エレベーター有り):23%
- 区分マンション:25%
実際には大きく差異が出ることもあるので、物件ごとに支出は細かく確認することをお勧めします。
営業純利益(NOI)
返済前の利益のこと。NOIはNet Operating Incomeの略。
年間の返済額(ADS)
年間の返済額を指す。ADSはAnnual Debt Serviceの略。
実例
概念だけだとわかりづらいと思うので、以下の物件の例を見ていきましょう。
- 売買価格:5,000万円
- 表面利回り8%、満室時想定年収400万円
- 自動販売機収入:年間6万円
- 木造
- 周辺の空室率:3%
- 融資はフルローン、金利2%、30年とする
※今回はリース損は考えないこととする
そうするとキャッシュフローツリーは以下のようになります。
総潜在収入(GPI): 4,000,000円
空室損 : −120,000円
純賃料収入 : 3,880,000円
雑収入 : 60,000円
実行総収入(EGI): 3,940,000円
運営費 : −600,000円⇦15%を採用
営業純利益(NOI): 3,340,000円
年間の返済額(ADS):−2,217,708円
税引き前キャッシュフロー(BTCF): 1,122,292円
キャッシュフローツリーは何に使えるのか
個人的にはNOIまで出せるようになることが重要だと思います。直感的には、販売図面で稼げる物件かどうか、概算の判断を行うことができる分析ツールだということを理解頂いていると思いますが、NOIまで導けるようになれば、更なる投資分析を行うことができるようになります。
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