以前スルガ銀行については以下のような記事を書きました。
《参考記事》
ブームの原因と、失敗事例をお話しましたが、
そう言えば不正融資の問題について書いていませんでした。
今回は、スルガ銀行が起こした不正融資問題について解説していきます。
何故不正融資が明るみに出たのか、
その流れや方法、そして現在どのような状況になっているのか簡単にまとめることにします。
目次でサクッと理解する
そもそもスルガ銀行って?
静岡県沼津市に本店のある地方銀行です。
支店は全国にあり、県外の方でも目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
不動産業界の立ち位置としては、事件の前から不動産投資業界では知らない人はいないくらい有名な銀行です。
そのブームについては以下の記事で説明していますが、とにかく一定年収を超えるサラリーマンに対して非常に柔軟にアパートローンを貸してくれたことが主な理由でしょう。
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個人向け(住宅ローン・フリーローン・アパートローンなど)の融資に特化し、
金利は高く取るが借りたい人にはなるべく貸す、というスタンスを取っていたので、
スルガ銀行は地方銀行の中でも群を抜くほどの好業績を収めていました。
しかし今年に入り(昨年末から様々な噂はありましたが)、
スマートデイズ社が運営する女性専用のシェアハウス『かぼちゃの馬車』が大きな問題となり、
融資をしていたスルガ銀行も問題視されるようになってしまいました。
かぼちゃの馬車事件とスルガ銀行
かぼちゃの馬車が大きな問題となったのはスマートデイズ社が『サブリース確定利回り8%!』を謳い文句にしていたのに、
入居者が入らなさすぎ、送金ができなくなってしまったことが主な原因でした。
現在も多くのかぼちゃの馬車の投資家は返済を抱えたまま収益を受け取ることができずに、
困窮しています。
『かぼちゃの馬車』に主に融資していたスルガ銀行に対しては、
「よく考えれば入居者入らないってわかったんじゃないか」
「融資した方にも問題があるんじゃないか」
「そもそもビジネスモデルが破綻することが見えなかったのか」
と問題の矛先が向くこととなり、
結果として不正融資が明るみに出ていくこととなりました。
スルガ銀行が犯した不正融資とは?
2018年5月に外部の弁護士で構成した「危機管理委員会」によって調査結果の報告がされています。
以下は危機管理委員会による調査結果の要旨ですが、
『不正融資マニュアル』みたいになっており中々読み応えがあります。
《参考リンク》
このリンクで指摘されていることをかいつまんで説明します。
価値と売価の乖離がすんごいものに融資をしていた
不動産投資を行う際の融資には、どこの金融機関も『評価』をかけます。
担保価値や収益性を考慮してそのリスクに見合う形で融資を行うわけです。
しかしスルガ銀行の場合はサブリース8%という立て付けで収益性があると判断し規定通りの融資をしてしまいました。
かぼちゃの馬車のイメージとしては、
土地建物の評価額が他の金融機関だと5,000万円(要は5,000万円しか価値のないような)物件が、
1億円で売りに出されているみたいなものでした。
それに対して多額の融資を出してしまったわけですから、
確かに追求はされても仕方ないのかもしれません。
売買契約書と通帳の改ざんがあった
売買契約書偽造
話題になっているのは預金残高偽造、売買契約書偽造です。
スルガ銀行の融資は「原則」売買価格の9割が限度でした。
1割金額を投下しなくてはいけないわけです。
「じゃあスルガ銀行向けに実際の売買価格よりもかなり増額したダミー契約書を作ってそれを提出すれば、
フルローンいけるね!」
というマンガみたいな偽造が実際に行われていたわけです。
このような偽造によって、
自己資金ゼロ系のサラリーマン大家さんが急増していきました。
通帳偽造
ここで指摘されているのは
「本来原本確認がルールだったのにも関わらず、省略されていた」ことです。
原本が必要がないことに目をつけた一部の投資家や不動産会社の中で、
「通帳偽造」が流行していきました。
(具体的には通帳の写しなどをフォトショップなどで偽造したり、
ネットバンキング画面を某ソフトウェアで偽造したり…)
こういった『通称:目の見えない(確認が甘い)銀行マンや支店』は不動産会社の間でも情報が周り、
利用者が増えました。
そうなると行員もノルマがあるし止められない、負のスパイラルに突入していったと言っても過言ではないでしょう。
スルガ銀行の現在の対応
不正融資が発覚した事でスルガ銀行側は、
第三者委員会を設置して本格的な調査を行う事を発表しました。
金融庁からも捜査が入っており、一部業務停止命令を含む厳しい行政処分を検討しているようです。
(具体的には、先月の時点で一部店舗でのアパートローン取扱停止、
体質改善などのため営業エリアの見直し、社用携帯配布(私用携帯との混同禁止)などが行われていると言っていました。
フリーローンの審査も以前よりもかなり時間がかかるようになっているようです。)
スルガ銀行が5月に発表した内部調査報告書によると、
『営業部門の幹部が融資に難色を示す審査部の担当者を恫喝していた』と指摘されていますが、
組織的不正は否定しており、更なる調査が行われています。
第三者委員会は、7月末を目途に報告をまとめるようです。
まだまだ長引きそうな案件ですが、報告が出たらまたブログもアップデートします^^
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